プロローグ
また打ち切るかもしれません。それは誰にもわからない。
「――ったく、警備が甘いわね。あたしが罪人だったらどーするつもりかしら」
あたしは一人呟きながら柵を降りる。
あたしの名前は、リメア=ティル=アリー=クレイノア。
……やたら長ったらしい名前というなかれ。この国の姫なんだから仕方ない。
まあ、当たり前と言えば当たり前かもしれないが、フルネームで呼ばれることなんて年に一、二回程度しかない。幼馴染には、『リメア』と『姫』というのをかけて、『ヒメア』なんぞと呼ばれたりしている。
――よっと。
裏道を通って少し行くと、うっそうとした森に出た。
この森は、豊富な果実と豊かな生態系で有名な『アズバルの森』。城のすぐそばにあるのだが、あまり人は来ない。
それを良い事に、昔はよく幼馴染と遊んだものだ。――今も遊んでいるというのはここだけの秘密である。
森の小道は意外にも広く、馬車が二台程なら余裕で通れるほどの広さがある。ただ、周りの木々がかなり生い茂っているので敵に襲われたりしやすそうだ。
城から歩くこと数十分。お日様もだんだん高い位置に昇ってぽかぽかしてきた。
いきなり――
「ヒメアっっっ!!!!!!!!!!」
背後からあたしを呼ぶ声が聞こえた。よぅく知っている声である。
こっ、この声はっっ!
振り返るとやっぱり、思っていた通りのヤツが立っていた。
これ、部誌の漫画で出したやつを小説版に書き換えただけなんすよ…w
挿絵:リメアです。