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護の思い
御徒町一族は美女揃いで、しかも光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
柏木は後日瑠里に挨拶に行く事を約束しました。
護は馨と共に都に戻りました。
「内府様、私を恨むのは構いませぬが、柏木殿や瑠里様に害が及ぶのなら、容赦致しませぬぞ」
道すがら、護は馬を近づけて告げました。
「何を申すか? そのような事思ってはおらぬ」
図星を突かれ、馨は動揺しました。
(何と鋭い男だ。あのボケ左府の息子とは思えぬ。やはり、美子に似たのだな)
結構失礼な事を想像する馨です。
「誰がボケ左府だ!」
人の心の声にまで突っ込みを入れる左京です。
(ならば尚の事、捨て置けぬ。潰しておかねば、後々困る事になりそうだ)
馨は護が自分の嫡男の匂の宮の政敵になると考えました。
(父上に詫びを入れて、匂の宮の事をご相談せねばならぬ)
どこまでも浅ましい考えの馨です。
勘当された太政大臣に頭を下げるつもりのようです。
わくわくが止まらない地の文です。