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馨、瑠里に詫びる
御徒町一族は美人揃いで、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
瑠里は匂の宮と共に左京について行き、馨と美子が待つ部屋に行きました。
「匂の宮」
「匂の宮殿」
馨と美子は匂の宮がいるので驚きました。
「わざわざのお越し誠にありがとうございます」
瑠里は二人に挨拶し、向かい合って座りました。左京と匂の宮は部屋の隅に腰を下ろしました。
馨は匂の宮の存在が気になるようでしたが、美子に促され、
「瑠里殿、この度は誠に申し訳なかった」
床に額を擦り付けるようにして詫びました。美子も一緒に頭を下げました。
匂の宮はそれを冷めた目で見ています。
「如何なる事なのだ?」
左京が小声で尋ねました。匂の宮は左京を見て、
「只今わかります。しばしお待ちを」
馨を見ました。左京も馨を見ました。
「匂の宮と柏木殿の勝負、不正があった。それ故、此度の匂の宮の勝ちはなかった事にしていただきたい」
馨は苦渋の顔を上げて言いました。