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瑠里、柏木の提案を受け入れる
御徒町一族は美女揃いで、しかも光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
柏木は匂の宮に勝負を挑む事を瑠里に宣言しました。
(瑠里様が拒まれたら、諦めるしかない)
後ろ向きな事を考える柏木ですが、
「はい」
瑠里は微笑んで応じました。
「え?」
少し意外だった柏木は思わず目を見開いてしまいました。
「柏木様の御決意の程、しかと承りました。匂の宮様とご存分に勝負なさいませ」
瑠里は柏木の手を取って告げました。
「は、はい!」
憧れの瑠里に手を握られ、柏木は顔を真っ赤にして俯きました。
(瑠里様は拒まれなかった!)
柏木は心の中で大喜びしました。
その一方、左大臣の左京と内大臣の馨の罵り合いはまだ続いていました。
「其方がそこまで強情とは思わなかったぞ、内府」
左京は怒りの形相で馨を睨んでいます。
「左府様こそ、謀反人の言葉を信じて、何を血迷われておいでなのですか?」
馨も退くつもりがありません。
ワクワクする地の文です。