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女達の戦い
御徒町の樹里は都で並ぶ者のない美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
そんな樹里が夫婦になろうとしている貧乏貴族の左京を巡って、女達の熾烈な戦いが始まろうとしています。
「左京様は樹里様と出会うより早く、私と夫婦になる約定を交わしております」
幼馴染みの亜梨沙が言いました。
「そうなんですか」
でも樹里は笑顔全開で応じました。
「それを言うのであれば、私は前世から左京様と約束しております」
遂に河童だと認めた蘭です。
「違うよ!」
地の文の勝手な判断に蘭は切れました。
「妾は約定はあらねど、左京様を思う気持ちは空より高く海より深いと言えまする」
美子姫が言いました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。
(意外に女子に好かれておるではないか)
つい鼻の下が伸びてしまう左京です。
「左大臣、誰が左京様に相応しいか、決めてくだされ」
美子姫が左大臣に詰め寄りました。




