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両者衝突
御徒町一族は都一の美女揃いで、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
左京が馨の部屋に向かっている頃、その馨は匂の宮の部屋に向かっていました。
両者は廊下の途中でばったり出くわしました。
「内府!」
「左府様!」
お互いに相手を睨みつけました。
「いろいろと裏で動かれているようで恐れ入ります」
馨が早速皮肉を言いました。
「其方こそ、何を企んでおるのだ?」
左京は目を細めて尋ねました。
「何を仰せです? 謀反人の後押しをなさろうとしているそうではないですか?」
馨も負けていません。
「その謀反はそもそも其方のでっち上げではないか!」
左京は馨に詰め寄って怒鳴りました。
遂に何事かと周囲の人々が集まり始めました。
(今にゃん)
吏津玖はほくそ笑み、瑠里がいる部屋に向かいました。
(瑠里様は僕のお嫁さんになるにゃん)
ニヤニヤしながら走る変態です。
「うるさいにゃん!」
調子に乗っている吏津玖は理不尽に地の文に切れました。




