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護、馨を諌める
御徒町一族は美人揃いで、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄でもあります。
護は馨が嘘を吐いていると思っているので、
「匂の宮殿がお可哀想です」
義理の兄に当たる匂の宮の不遇を訴えました。
「其方が案ずる事ではない」
でも、馨は全く取り合うつもりがないのか、そんな事を言いました。
「私は匂の宮殿と瑠里様はお似合いだと思っております。ですから、何卒、匂の宮殿をお認めください」
護は馨の目を真っ直ぐに見て言いました。
「え?」
まさか、護が匂の宮と瑠里の仲を取り持ってくれるとは思っていなかった馨は仰天しました。
「匂の宮殿の出自が問われているのであれば、瑠里様と夫婦となる事で補われるのではないかと思います」
護の意見に馨はハッとしました。
「其方の申す通りかも知れぬ」
馨の顔が穏やかになりました。
(おわかりいただけたようだ)
護はそんな馨を見てホッとしましたが、
「それとこれとは話は別だ」
馨は諦めていませんでした。