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左京、命を狙われる
御徒町の樹里は御所ばかりでなく都でも名高い美人です。
しかもご先祖様はあの光源氏の君です。でも、かーくんは関係ありません。
貧乏貴族の左京は樹里に、
「貴方とずっとこうしてお話したかったのです」
そう言われ、気が遠くなりかけました。
「何故私のような不甲斐ない男に?」
不思議に思った左京が勇気を出して尋ねると、
「人を好きになるのに理由が必要ですか?」
ウルウル瞳ほっぺたプウ攻撃をする樹里です。
「そんな事はありません……」
そう言いながら、左京は気絶しました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開で応じました。
(姫様はあんな男をお好きなの?)
樹里の気持ちが理解できない侍女のはるなです。
しばらくして意識を取り戻した左京は、
(このままここにいると死んでしまう)
そう思って、邸を出ました。
「またいらしてくださいね」
笑顔全開で送り出す樹里です。
「おのれ、左京め。死んでもらうしかない」
それを物陰から加藤の中将が見ていました。