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護、樹里達と共に邸に帰る
御徒町の樹里は都で並ぶ者のない美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
実の母親の美子に提案され、護は育ての母である樹里の邸に行く事になりました。
(左京様によく似ておいでで、凛々しいお顔立ちをしておられる)
側室の龍子、麻耶、髪長姫はウットリした顔で護を見ています。
(如何したのだろう?)
事情がわからない護は美しい女性達に見つめられて、顔を赤らめています。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。
それにしても、左京に似て凛々しい顔立ちとは、揃いも揃って目がどうかしていると思う地の文です。
「何ですって!?」
正直に事実を述べただけの地の文に揃って切れる龍子と麻耶と髪長姫です。
まもなく樹里達は邸に戻りました。
「義兄上様」
「義兄様」
瑠里と冴里が揃って嬉しそうに護を出迎えました。
「お久しぶりです」
護は顔をまた赤らめて言いました。




