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左京、馨を追い返す
御徒町の樹里は都で並ぶ者のない美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
左京と馨はしばらく他愛もない世間話をしました。
すっかり上機嫌になった左京です。
長女の瑠里とうまくいっていない事など、忘れてしまったかのようです。
「余計な事を申すな!」
折角左京を煽ててうまく取り繕おうとしている馨が、何も考えていない地の文に切れました。
「それも余計ない事だ!」
更に切れる馨です。今日はいつもより多めに切れているようです。
「誰が○之助○太郎だ!」
地の文の鉄板ボケにも切れる馨です。
馨の心配は取越苦労です。鶏並みの知能しかない左京はすでに忘れています。
「誰が鶏だ!」
地の文の囁き声を聞き逃さずに切れる左京です。申し訳ありません、鶏に失礼でしたね。
「ふざけるな!」
更に元気よく切れる左京です。
「どうなさったのですか、左府様?」
馨が尋ねると、
「帰ってくだされ!」
突然不機嫌になった左京は、馨を追い返しました。




