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由里、魔物の正体を探る
御徒町の樹里は都で一番の美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
樹里と璃里の美人姉妹が張った結界により、都に吹き荒れていた野分の勢いが弱まりました。
「やはりこの野分、只の野分ではなかったようね」
璃里が真顔で言いました。
「おお!」
左京はそれを見て鼻血を垂らしそうになりましたが、樹里がいるので堪えました。
いつでも間抜けな奴です。
「うるせえ!」
率直な意見を述べた地の文に切れる左京です。
「後は母上達にお任せしましょう」
樹里は笑顔全開で言いました。
由里は樹里と璃里の結界によって、野分が弱まったのを切っ掛けに魔物の正体を見極めようとしました。
「臨兵闘者皆陣列前行!」
早九字を切り、護符を空へと投げ上げました。
それに倣って、麗華と蘆屋道珍も護符を投げ上げました。
護符が魔物の妖気に反応し、バチバチッと稲光が走りました。




