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左京、樹里に思いを告げられる
御徒町の樹里は都一の美人です。
しかも、あの光源氏の君の血を引く高貴な家系でもあります。
多くの男達が彼女を射止めようと様々な贈り物をしました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開で受け取るのですが、侍女のはるなが内緒で全て送り返していました。
(姫様が結婚すると私の仕事がやりづらくなる)
はるなは裏街道を歩く仕○人のようです。
「違います!」
はるなは勝手な憶測を展開する地の文に切れました。
耳から鼻血を噴き出すという秘技を披露した左京は、ようやく意識を取り戻しました。
「わわ!」
目の前にウルウル瞳の樹里がいます。また鼻血を必死で堪える左京です。
(これ以上血が出たら、死んでしまう)
前世ではもっと出していたと思う地の文です。
「前世の話はやめてくれ!」
左京は涙目で抗議しました。でも地の文は聞こえないフリをしました。
「貴方とずっとこうしてお話したかったのです」
樹里は左京の手を握り締めました。気が遠くなる左京です。