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男達の宴

 御徒町の樹里は都に並ぶ者のない美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。


 


 猫又騒動からしばらく経ったある梅雨の朝。


 濡れそぼる木々を部屋から眺める樹里です。


「姫様、朝餉の支度が整いましてございます」


 侍女のはるなが言いました。樹里は頷きました。


「樹里様?」


 立ち上がらない樹里を妙に思って近づくと、樹里は居眠りをしていました。


(またかよ)


 寝てばかりいる樹里にはるなは舌打ちしました。早速後で告げ口しようと思う地の文です。


「やめてよ!」


 はるなは地の文に抗議しました。


「そうなんですか」


 樹里が寝言を言いました。


 


 樹里が転寝うたたねをしている頃、貧乏貴族の左京は五人衆に誘われて宴に加わっていました。


「左京殿はもう試されたのか、樹里様を?」


 下卑た顔で宮川の少将が尋ねます。


「何をですか?」

 

 左京は首を傾げて尋ね返しました。


「私に言わせるのか、それを?」


 宮川の少将は嫌らしい顔になります。


 左京はゾッとしました。

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