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恋敵急増
御徒町の樹里は都で並ぶ者がいない美人です。
その樹里に好かれている貧乏で何の取柄もない左京は、何故か他の姫にも好かれる磁石みたいな男です。
「貶しているのか誉めているのか、はっきりしろ!」
現状をぼかした地の文に左京は切れました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。
「左京殿、樹里姫は私が奥方に致す」
五人衆の筆頭である馨はニヤリとして言い放つと、立ち去りました。
(お力になります、馨様)
蘭と亜梨沙と美子姫が心の中で言いました。
「樹里様、ではこれにて」
三人は馨を助けるために行動を開始しました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開で応じました。
「待て待て!」
するとそこへまた罪人が現れました。
「罪人じゃねえ!」
罪人は鬼の形相で地の文に切れました。
「あ、バ加藤の中将!」
左京は罪人に言いました。
「バを付けるな! どこまでそのネタを広げるつもりだ!」
加藤の中将はしつこい「バ加藤ネタ」に切れました。