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五人衆の焦り
御徒町の樹里は都で一番の美人で、引く手数多です。
朝廷の最高権力者の藤原道草が樹里を側室にしたいと言いました。
樹里が思いを寄せる貧乏でロクでもない左京は焦っています。
「ロクでもないとは何だ!」
左京は気ままな地の文に切れました。
そして、朝廷でも上位に位置する五人衆の面々も焦っていました。
(相手が関白では分が悪い)
加古井の中納言は思いました。
(ならば、左大臣の姫をいただくか)
五反田の左大臣の嫡男が馨で、その妹の麻耶は自分に惹かれているのを中納言は知っています。
(私も樹里姫の侍女にしよう)
宮川の少将はエロい視線をはるなに向けました。
(キモ)
はるなはその視線を感じて身震いしました。
「では、決まりですな」
道草はドヤ顔で立ち去りました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。左京は血の涙を流しています。
「大事ありませぬ、左京様」
樹里は左京に近づき、手を取って言いました。