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樹里と帝
御徒町の樹里は都で一番の美人で、しかも帝の姉のようです。
「これはその……」
最年長の宮川の少将が言い訳をしようとしました。
「何か、宮川の少将?」
帝は微笑んで少将を見ました。
「おお!」
その爽やかさにおばさん二人が落ちました。
「誰がおばさんだ!」
蘭姫と亜梨沙姫が地の文の年齢設定に異を唱えました。
(素敵……)
身の程知らずにも樹里の侍女のはるなも帝に心を奪われました。
「思うだけならいいでしょ!」
何でも暴露してしまう地の文にはるなは切れました。
(樹里姫様と帝はきょうだいなのね)
帝のお妃候補に名を連ねる美子姫は思いました。
「いえ、あのその……」
帝の美しい微笑みに何故か頬を染める宮川の少将です。危険です。
「違う!」
無理矢理危ない話に変更しようとする地の文に少将は切れました。
「これは樹里姫様をお守りするための詮議でございます」
代わりに目黒の少納言が答えました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。