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はるなと目黒の少納言
御徒町の樹里は都で並ぶ者のない美人です。
そのせいで宮中で詮議を受けています。
樹里が、
「はるなの方がよく知っております」
そう言ったがために窮地に立たされたと思う侍女のはるなです。
(何を訊かれるのかしら?)
はるなはドキドキしています。
「名を名乗りなさい」
目黒の少納言が言いました。
「はるなと申します」
はるなは顔を赤らめて頭を下げました。とんだエロ女です。
「何でよ!」
はるなは誹謗中傷する地の文に切れました。
「樹里姫様がおっしゃるには、其方の方が度崙戸について存じておるという事だが、相違ないか?」
少納言にはるなは恍惚としました。
「あら、いい男」
おばさん二人が呟きます。
「誰がおばさんだ!」
亜梨沙と蘭は地の文に切れました。
はるなはどう答えようか迷いました。
「はるなは私を庇ってくれました。その時、相手の顔を見ているのです」
樹里が不意にまともな事を言いました。
天変地異の前触れかと思う地の文です。