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道草の謀略
御徒町の樹里は都で一番の美人です。
その樹里が、都を騒がすおばさん盗賊の度崙戸に勾引かされそうになりました。
「おばさん言うな!」
どこからかおばさんの声が言いました。
「おばさんじゃないって言ってるでしょ!」
度崙戸のようです。面白いのでしばらくこのネタでからかおうと思う地の文です。
箕輪の大納言は許嫁のまゆ子姫の嫉妬の平手打ちで気絶しました。
「そうなんですか」
それでも樹里は笑顔全開です。
「慶一郎様、申し訳ありませぬ」
自分で叩いておいて、オロオロする勝手気ままな危ない女性です。
「何ですって!?」
まゆ子姫は簡潔に性格を表現した地の文に切れました。
宮中一の実力者である藤原道草は側近から報告を受けていました。
「左大臣の奥方は病なのか」
道草はニヤリとし、
「都中の薬師を集めよ。左大臣のために薬を調合させるのだ」
その顔はとても親切な人には見えないと思う地の文です。