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樹里の恋敵現れる
御徒町の樹里は都で一番の美人です。
それに加えて、光源氏の君の血を引き、先代の帝の血も引いています。
それなのに樹里は、貧乏貴族の左京に惹かれています。
その左京は亜梨沙姫と蘭姫という物好きな女性に好かれています。
「誰が物好きだ!」
亜梨沙と蘭が切れましたが、登場はしません。
「何でよ!?」
無視してお話を進める地の文です。
「左京様に近づく女が?」
宮中にある帝に近いお立場の方のお部屋で、美しい女性が言いました。
「はい。樹里姫様にございます」
侍女は傅いて言いました。
「何と? あの源氏の君のお家柄と言われている樹里姫様か?」
女性は目を見開きました。そして、クスッと笑います。
「相手にとって不足なし。妾は決して負けぬ」
そう言ったのは、帝のお妃候補にも名を連ねる美子姫です。前世では聖獣だった人です。
「前世の話はしないでいただきたいわ」
美子姫は何でもばらしてしまう地の文に抗議しました。