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樹里、左京と出会う
御徒町の樹里は光源氏の血を引く高貴な女性です。
その美しさは御所一で、数多くの男達が樹里とお付き合いをしようと訪れています。
そんな一人である貧乏貴族の左京の君は、樹里の侍女であるはるなに不審者として制裁を受けました。
どの時代でも悲惨な左京です。
「ううう……」
瀕死の重傷を負った左京は虫の息です。
このまま安らかに眠らせてあげましょう。
「おおい!」
死にかけながらも、非情な決断をした地の文に突っ込む左京です。
「どうしたのですか、キャビーさん?」
騒ぎを聞きつけて出て来た樹里が本編のボケを取り込んで尋ねました。
「姫様、ここは京の都です。きゃびいなどという名前の者はおりません」
はるなは項垂れながら言いました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。そして、左京に気づきました。
「まあ、その方はどうされたのですか?」
はるなはドキッとして、
「行き倒れです。放っておけば見回りの者が片づけます」
と言いました。