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弘徽殿の女御の後悔と鑑の思い
御徒町の樹里は都で一番の美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
弘徽殿の女御は星一族が姿を消したのを知り、ホッとしていました。
(あの者達の企みは恐ろし過ぎる)
星一族は朝廷の力を利用して、敵対する月一族を滅ぼそうとしています。
女御はそこまで手を貸すつもりはないのです。
(触れてはならぬ者達と手を携えてしもうたのか)
女御は後悔していました。
その頃、篝と鑑は赤子を連れて鞍馬山の隠れ家にいました。
「赤子がこちらにいる限り、月一族は手出しできぬ」
篝が言いました。鑑は眠っている赤子を見て、
「我らも子を持つ事ができましょうか?」
「月一族を滅ぼせばな」
篝の言葉に鑑はギクッとします。
(篝姉様はまだ大姉様の事で朝廷を恨んでいるの?)
大姉様とは誰でしょう? 興味津々の地の文です。
「下手な詮索をすれば命はない」
鑑が地の文を脅したので地の文は漏らしました。