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加藤の中将の焦燥
御徒町の樹里は都で並ぶ者のない美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
弘徽殿の女御が迷っている頃、加藤の中将も迷っていました。
妹の髪長姫はバカで貧乏で甲斐性なしの左京と契ってしまい、瑠奈の方が亜梨沙の子供を殺すように言い、どうすればいいのかわからなくなっていました。
取り敢えず、左京を始末すればいいと思う地の文です。
「ふざけるな!」
知らないうちに暗殺されそうになった左京がどこかで切れました。
「そうか、それがいい」
地の文の唆しに同意した中将です。
中将がいる部屋には、左京が操られたのと同じお香が焚かれていました。
(これでいい)
天井裏でほくそ笑む星一族の鑑です。
「そうはさせない」
茜が現れました。
「おのれ!」
鑑と茜が激突を開始しました。
左京は胃がキリキリと痛み、寝込んでいました。
(これからどうなってしまうのだ?)
もう堕ちるだけだと思う地の文です。