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左京、樹里を守る
御徒町の樹里は都で一番の美人です。
その樹里の邸に度崙戸と名乗る盗賊が現れました。
おばさん一人と女の子二人です。
「いつまでそのネタを引っ張る気だ!」
度崙戸はしつこい地の文に切れました。
「樹里様!」
そばにいた左京が樹里を庇い、度崙戸を睨みます。
「あんた、騙されてるよ。五人衆は悪い連中なんだ」
度崙戸は小声で左京に言いました。
「え? 何?」
でも左京には聞こえません。
「まあ、いいさ。あんたに免じて今日は引き上げる」
度崙戸は二人の配下に目で合図すると姿を消しました。
「逃がすな、追え!」
五人衆は兵達に命じてドヤドヤと去って行きました。
「左京様、ありがとうございました」
樹里がまた抱きついたので、左京は鼻血を目から垂らしてしまいました。
「姫様、ご無事ですか?」
着替えを終えたはるながわざとらしく駆けて来ます。
「ネタバレ禁止!」
はるなは口が軽い地の文に言いました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。