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魔女対魔女その弐
御徒町の樹里は都で一番の美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
それぞれが簡易な舞台を整え、紅葉狩りに興じます。
「でもさあ、もみじを狩るのは勘弁してあげて、帝君。あの子も一生懸命宮仕えしているから」
渚の暴走は止まりません。
「そうなんですか」
隣で聞いていた樹里は笑顔全開ですが、帝は苦笑いしていました。
「これはこれは、大村様、見事なお車です事」
弘徽殿の女御は大村の御息所の舞台に行きました。
「いえいえ、大した事はございませぬ」
目が笑っていない御息所です。
同じく目が笑っていない女御です。もみじはその凄まじさに気絶しそうです。
(左京様……)
愛しい人がすぐそばにいるのに美子姫は近づく事ができません。
元霊獣のくせに情けないと思う地の文です。
「その話はしないで!」
久しぶりに前世の話題を持ち出した地の文に切れる美子です。
(美子姫様……)
左京もまた美子を見ていました。