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いざ、紅葉狩りへ
御徒町の樹里は都で一番の美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
帝と渚は、紅葉狩りへと出立する準備をしています。
「私、やっぱり気が進まないなあ、帝君」
自由そのものの渚が言いました。
「如何なさいました、渚殿?」
帝は典雅に微笑んで尋ねました。
「だってさ、もみじ狩りでしょ? 私、従妹のもみじを狩るなんてできないよ、帝君」
真顔で言う渚に帝は唖然としました。
樹里達は牛車三台で出立しました。
一台目には左京と樹里と瑠里、二代目には由里と璃里、三台目には葵と茜が乗っています。
美咲は大村の御息所の邸にいます。
「由里様!」
牛丼屋さんが馬で駆けつけました。
「誰がドライブスルーだ!」
時代考証を無視して切れる平特盛です。
「ありがとね、特ちゃん」
由里は特盛の心を知っていました。
そこへ箕輪の大納言が馬で現れましたが、由里に気づいて逃走しました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。