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帝の懸念
御徒町の樹里は都で一番の美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
茜と美咲、そして鑑と篝は激しくぶつかり合いました。
「何事だ?」
付近にいた殿上人達が騒ぎに気づいて集まり始めました。
「この決着はいずれ!」
四人はサッと散りました。
(寿命が縮んだにゃん)
吏津玖は漏らしそうになったのを何とか堪えました。
帝の耳にも左京の話は届いており、心を痛めていました。
「帝君、どうしたの?」
場の空気など読むつもりがない渚が尋ねました。
「いずれ左京は詮議にかけられて、宮中どころか、都を追われる事になりかねませぬ」
帝が深刻な顔で告げると、渚は眠っていました。項垂れる帝です。
(今の私にできる事は、時を稼ぐ事くらいか……)
後ろ盾のない帝は自分の非力を嘆きました。
「紅葉狩りを催そうと思う」
帝は唯一の協力者である左大臣に伝えました。
「はは!」
左大臣は帝の思いを知り、胸を締めつけられました。




