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まだ続く出産
御徒町の樹里は都で一番の美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
樹里は女の子を産みました。
「名前は瑠里です」
樹里が左京に言いました。
「そうなんですか」
来世の因縁を感じる左京です。
「麻耶姫様は難産でしたが、男の子をお産みだそうです」
侍女の夜遊び女が言いました。
「いつまでそれを引き摺るんだ!」
はるなが切れました。あれ、弥生でしたっけ、茜でしたっけ?
「わからなくなるならボケるな!」
茜は更に切れました。
箕輪の大納言の正室であるまゆ子は既に実家で出産をすませ、大納言の邸に戻っていました。
まゆ子姫も男の子を産みました。名前は親分でどうでしょうか?
「誰が銭形平次だ!」
まゆ子が時代設定を無視した地の文に的確に切れました。
「名前は義智です」
まゆ子は鬼の形相で地の文に言いました。
馨は厚子が産んだ子供を認知させられ、匂の宮と名づけました。
(どうすればいいのだ?)
馨は思い悩みました。