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狙われた真里
御徒町の樹里は都で一番の美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
樹里と左京は町で会った樹里の妹の真里を牛車に乗せて邸に帰りました。
「よく似ていらっしゃいますね」
侍女のはるなが言いました。
「そうなんですか」
樹里と真里はそっくり笑顔で応じました。
「妹君がいらしたのですね」
左京が言うと、
「姉もいますし、真里の他に二人妹がいます」
樹里の答えに唖然とする左京とはるなです。
(その人達もそっくりなのか?)
だんだん話が怖くなって来たと思う地の文です。
程なく邸に着くと、
「遊びに行って参ります」
真里は出かけました。
「私も参ります」
実は忍びのはるなが真里を追いました。
「そうなんですか」
それでも樹里は笑顔全開です。
「どちらの姫様ですか?」
真里はある邸の前で声をかけられました。
「姫ではありませぬ」
真里が声の主を見て応じます。
「そうなんですか」
それは宮川の少将でした。
(予感的中)
はるなはそれを見て思いました。