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左京、ボコられる
御徒町の樹里は誉れ高い光源氏の君の血を引く高貴な女性です。
でも口○クのアイドルではありません。
樹里に恋焦がれる貧乏貴族の左京の君は、毎晩のように樹里の邸に近づき、塀の隙間から覗いていました。
(また来ているな、あのヘボ貴族)
樹里の侍女であるはるなは侍女にしては勘働きが冴える女性です。
彼女は左京を危険だと判断し、今夜こそ思い知らせてやろうと考えていました。
「もし」
はるなは音もなく忍び寄り、左京の背後に立ちました。
「ひい!」
左京は口から魂が出そうなくらい驚きました。
「何のご用でしょうか?」
はるなは仁王立ちで腰を抜かした左京に詰め寄りました。
もう少しでチビッてしまいそうな左京です。
「こちらの姫様に歌をお送りしたいと思って」
咄嗟に嘘を吐く左京です。猿のままの方が良かったでしょうか?
「その話に触れるな!」
左京は涙目で地の文に抗議しました。
「痴れ者!」
はるなは問答無用で左京をボコボコにしました。