191/1080
美子姫の意地
御徒町の樹里は都で一番の美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
美子姫の姉である弘徽殿の女御は美子に詰め寄りました。
「申せぬとは如何なる事ぞ?」
美子は姉の顔を見たらチビりそうなので顔を背けたままで、
「申せぬものは申せませぬ」
大きな声ではねつけました。女御は妹の様子に違和感を覚えましたが、
「そうか」
使用人や侍女を使って探り出す事にしました。
「面白い事になってきたにゃん」
それを天井裏で元猫又の吏津玖が聞いていました。
『お恨み致しまする』
するとまた以前に食った人の怨念が現れました。
「にゃん」
また失禁する吏津玖です。
美子はあっさり引き下がった姉に不審を感じ、文を認めました。
(左京様が危ういかも知れぬ)
あんなロクでなしの事を気遣う心優しい美子です。
「へっくしょい!」
噂をされた左京はくしゃみをしました。
「そうなんですか」
それでも樹里は笑顔全開です。