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闇の退却
星一族の襲撃を受け、月一族の葵達は防戦一方です。
(このままでは危うい……)
葵が対策を考えあぐねていると、
「飛雄馬さんはどこですか?」
いきなり樹里が危険球なボケをかましながら現れました。
「樹里様!」
はるなが驚き、樹里を庇うように立ちました。
「何!?」
何故か樹里を見てギョッとする星一族達です。
「退け!」
何故か一斉に退却してしまいました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。
(如何なる事だ?)
葵達は首を傾げました。
一方、道に迷った左京はフラフラになっていました。
「春は若貴」
その時、奇妙な事を言う女性の声が聞こえました。
ふとそちらを見ると、可愛い女の子が大きな邸の縁側で書を読んでいるのが見えました。
(可愛い……)
自分の置かれている状況も忘れ、女の子に見とれるバカ左京です。
「うるせえ!」
ありのままを述べた地の文に理不尽に切れる左京です。
「あ、貴方はどなた?」
女の子が左京に気づいて尋ねました。