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相思相愛
御徒町の樹里は都で並ぶ者のない美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
目黒の大納言とはるなはまだ見つめ合ったままです。
「どうぞお入りくださいませ」
無防備選手権優勝候補の樹里が危険人物選手権第一シードの箕輪の大納言をどんどん奥へ通してしまいます。
(ムフフ)
悪い顔で笑う箕輪の大納言ですが、通された部屋には樹里の母親の由里がいました。
「ええ!?」
由里を知らない大納言は仰天しました。
「いらっしゃい。樹里のお友達の方?」
相変わらず現代口調の由里です。自由過ぎると思う地の文です。
「どちら様ですか?」
箕輪の大納言が尋ねました。
「樹里の母の由里でございます。今後ともよしなに」
樹里と寸分違わぬ笑顔で言う由里です。
「そうなんですか」
思わず樹里の口癖で返す大納言です。
その頃、はるなと少納言にようやく動きがありました。
「お慕い申しています」
お互いが同じ事を言いました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開です。