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五人衆の聴聞
御徒町の樹里は都一の美人です。
貧乏貴族の左京はその樹里に好意を持たれたため、有力貴族の五人衆に呼ばれました。
「看病とな?」
馨の君は目を見開きました。
「羨ましい」
隣にいる箕輪の大納言が呟きます。涎が垂れそうです。
「それほどの間柄であるのか」
嫉妬剥き出しの顔で言ったのは加古井の中納言です。
「樹里姫様は其方をどうお思いなのか?」
尋ねたのは宮川の少将です。左京は顔を上げ、
「それはその……」
正直に言えば只ではすまないと感じて言葉に詰まりました。
(どう答えればよいのか?)
左京はない知恵を絞ろうとしました。
「うるさい!」
正直過ぎた地の文に切れる左京です。
「左京様、こちらでしたか」
見目麗しい女性が現れました。
「亜梨沙姫、どうなさいましたか?」
最年少の目黒の少納言が言いました。しかし、亜梨沙姫は五人を無視して左京を連れ出してしまいました。
「あのじゃじゃ馬と幼馴染みだったな」
宮川の少将が言いました。