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特盛、逃走
御徒町の樹里は都で並ぶ者のない美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
その樹里の元に武家の頭目である平特盛が来ました。
特盛は因縁を吹っかけようとしましたが、樹里のボケに阻まれ、その上樹里の母親の由里の登場で石化しかけました。
「ゆ、ゆ、ゆ……」
驚愕し過ぎ、言葉にならない牛丼屋さんです。
「誰がドライブスルーだ!」
時代考証を完全に無視した切れ方をする特盛です。
「元気そうで良かったわ」
由里は笑顔全開で言いました。顔が茹蛸のように赤くなる並盛です。
「もう少し盛れ!」
勝手にご飯の盛を減らした地の文に切れる特盛です。
「左京ちゃんが何か不始末をしたの、特ちゃん?」
由里が特盛に近づき、その手を取ると、
「失礼仕ります!」
脱兎の如く逃げ出してしまいました。
「何なのよ、失礼な。昔馴染みにあの態度は許せないわ」
由里はムッとして呟きました。
(どういう関わりなのだ?)
唖然とする左京です。




