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樹里対特盛
御徒町の樹里は都で並ぶ者のない美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
平特盛が樹里の部屋を訪れ、左京が自分の娘に言い寄ったと言いました。
「そうなんですか」
それでも樹里は笑顔全開です。
(樹里様……)
左京はこれからどうなるのか怖くなりました。
「どうお詫びいただけるのか、お教えいただけませぬか?」
特盛は大村の御息所のような顔で尋ねました。
その言葉を聞き、左京は気絶しそうです。
(如何にすればよいのだ?)
実は忍びである侍女のはるなは、特盛が不穏な動きをしたらすぐに仕留めるつもりです。
(此奴は我が月一族にも害を為す)
特盛は樹里をニヤリとして見ています。
「では相談させてください」
樹里は笑顔全開で言いました。
「相談?」
特盛はキョトンとしました。
「母上、よろしいですか?」
樹里の母の由里が現れました。
「お久ァ、特ちゃん」
由里を見て石化しかける特盛です。




