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左京、もう一度浮気する
御徒町の樹里は都で並ぶ者のない美人で、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
左京は翌朝、またしても樹里に黙って部屋を出ました。
(どこへ行くのだろう?)
侍女のはるなが後をつけようとしますが、
「ダメですよ、キャビーさん」
久しぶりの本編ボケを樹里にされ、項垂れました。
「ですが樹里様、旦那様が……」
はるなは樹里の健気さを知ってるが故に左京の行動が許せないのです。
「男の方は、自分の子孫をどれだけ残せるかなのです。仕方ありませぬ」
樹里は笑顔で言いましたが、全開ではありませんでした。
「樹里様……」
はるなは涙ぐみました。
左京が訪れたのは、同じ女性のところでした。
「本当においでくださったのですね」
女性は嬉しそうに左京を出迎えました。
「はい。貴女に私の子を産んで欲しいので」
左京は照れ臭そうに言いました。何という事でしょうか。
「ありがとうございます」
女性はそう言いつつ、左京にわからないようにニヤリとしました。