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左京、五人衆と会う
御徒町の樹里は都で並ぶ者がないほどの美人です。
その樹里に何故か貧乏貴族の左京が好意を持たれました。
噂はたちまち御所にも届き、樹里に思いを寄せている有力貴族達の耳にも入りました。
貴族達は樹里が好意を持った相手がどんな人物なのか知りたくなり、牛車を遣わしました。
左京は貴族ですが、身分が低いので御所でも端の方にしか入った事がありません。
今案内されているのは、帝のおわすところの近くです。
(身体が震えてきた)
高貴な場所に通されたので、緊張でチビりそうな左京です。
辺りを見ていると、五人の貴族が現れました。
「あ」
人の顔を覚えるのが苦手な左京ですが、五人の方々の顔は知っています。
でもスマッ○ではありません。
(樹里様はこれほどの方々のお心も掴んでいらっしゃるのか)
左京は眩暈がしました。
「其方が左京であるか?」
一番右に座った貴族が尋ねました。
(あの方は左大臣の子息)
左京はひれ伏しました。