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左京、御所にゆく
御徒町の樹里は都一の美女で、あの光源氏の君の血を引く高貴な家系です。
樹里に何故か好意を寄せられている貧乏貴族の左京は、帰り道に御所からの牛車に乗せられました。
「貴方をお迎えにあがりました」
御者が言いました。
「私はもう死んだのか?」
ビクッとする左京です。
「そのお迎えじゃねえよ!」
妙な勘違いをした左京に突っ込む御者です。
「御所には名高き五人の公達がおわします。その方々とお会いください」
「○立ち?」
伏字にするしかない事を言う左京に御者は項垂れました。
(こんな阿呆を呼びつけてどうしようというのだ?)
御者には高貴な方々のお心が理解できませんでした。
樹里の侍女のはるなは、左京が牛車に乗せられたのを樹里に伝えました。
「そうなんですか」
樹里は笑顔全開で応じました。
「きっと姫様に会った事を責められるのですよ」
はるなは嬉しそうに言いました。
「そうなんですか」
樹里はそれでも笑顔全開です。