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司、左京に謝罪する
御徒町一族は光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄で、美人揃いです。
左京は続いて御所に行きました。
「いろいろと大変でしたね」
御簾の向こうで帝が言いました。
「ありがとうございます」
左京は帝の心遣いに頭を下げました。
「お義兄ちゃん、元気出してね」
中宮の渚が笑顔で告げました。
「勿体ないお言葉です」
左京は自由な渚の言葉遣いに顔を引きつらせて応じました。
しばらくして、左京は樹里と共に内裏を離れました。
「左京様」
司が現れました。ビクッとする左京です。
「大変申し訳ありませんでした。私の考えが至らずに左京様にご迷惑をおかけして……」
司が目を潤ませて言ったので、
(可愛い)
ゲスな左京が復活です。
「うるさい!」
心情を率直に表現した地の文に切れる左京です。
「そうなんですか」
それでも樹里は笑顔全開です。
「改めてお願い致します。どうか私を左京様の側女にしてくださいませ」
懇願する司に左京は困惑し、樹里を見ました。