1054/1080
司、改心する
御徒町一族は光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄で、美女揃いでもあります。
師匠である安倍成親に諭されて、司はようやく左京を呪うのをやめました。
結局左京は助かってしまったようです。残念だと思う地の文です。
「何だと!」
意識が朦朧としているにも関わらず、きっちり地の文に切れる左京です。
「さ、参りましょうか」
成親が司を促しました。
「はい」
司は力なく項垂れたまま、成親と共に樹里の邸を立ち去りました。
「ありがとうございました」
護は深々と頭を下げて、成親を見送りました。
「父上、しっかりなさいませ」
まだ朦朧としたままの左京を布団に寝かせて、護は声をかけました。
「ううう……」
左京はうなされるような声を発して、パッと目を開けました。
「私は一体……?」
若い女と契っていたはずが、それが夢だったと知って、がっかりする左京です。
「違う!」
図星を突かれ、焦りまくって地の文に切れる左京です。