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龍子、驚愕する
御徒町一族は光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄で、美女揃いです。
実は左京に恨みを抱いている新しい側室の司。
その司は陰陽道の使い手で、左京を自分の式神と交わらせました。
式神は左京の生気を吸い取り、確実に寿命を縮めています。
「それは真ですか?」
樹里の母親で稀代の陰陽師の安倍晴明の最後の直弟子である由里が、側室筆頭の龍子に事情を説明すると、龍子は目を見開きました。
「勿論。しかも悪い事に左京ちゃん、司の虜になっているんだよね」
由里は肩をすくめて言いました。
「そうなんですか」
思わず樹里の口癖で応じてしまう龍子です。
「このままでは左京様は……」
龍子は涙ぐみました。由里も深刻な顔になって、
「一月保たないだろうね」
龍子は泣き崩れてしまいました。
「麻耶ちゃんや髪長ちゃんには内緒にしてね」
由里が言いました。黙って頷く龍子です。