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左京、後黒河院の息女に会う
御徒町一族は光源氏の君の血を引く家柄で、美女揃いです。
翌日、浮かれ気分の左京が御所に行くと、
「太政大臣様がお呼びです」
使いの者が来て告げました。
左京は更に心を弾ませて太政大臣の部屋に行きました。
「失礼致します」
部屋に入ると、長女の瑠里と年が違わないくらいの女性が座っています。
「こちらが後黒河院の息女の司様だ」
太政大臣が言いました。左京は姫のあまりの若さに声を失いました。
(瑠里と同い年くらいではないか)
そこまで年が違う相手だとは夢にも思わなかったのです。
(院は一体お幾つの時にお作りになったのだ?)
後黒河院は左京から見ても父親くらいの年齢でした。
(孫くらい年が違う)
左京が固まっている事に気づいていないのか、
「よろしゅうお願い申し上げます」
司は深々と頭を下げました。
「こちらこそよろしくお願い致します」
左京は慌てて頭を下げました。
面白くなってきたと思う地の文です。




