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陥落する女達
御徒町一族は美人揃いで、光源氏の君の血を引く由緒正しき家柄です。
護に抱きしめられた茜は完全に護の虜です。
(その護しゃんは僕の虜にゃん)
小者がニヤリとしました。
「もういい加減やめて欲しいにゃん! 僕は小者じゃないにゃん!」
しつこい地の文に切れる元猫又の吏津玖です。
「吏津玖に力を貸してくれますね?」
間近で護に見つめられ、茜は顔を真っ赤にして、
「はい」
夫である目黒の大納言(最近まで中納言)が見たら、卒倒しそうです。
「茜、猫に騙されてはダメよ!」
そこへ姉貴分の美咲が現れました。しかし、
「私に免じて許してください」
護に後ろから抱きしめられ、
「はい……」
今まで誰にも落ちなかったのにあっさりメロメロです。
(護しゃん、さすが篠原の内大臣と同じ名前だけの事はあるにゃん)
ほくそ笑む吏津玖です。
(このまま、天下を獲れるかも知れないにゃん)
どんどん野望を膨らませる吏津玖です。
わくわくしてしまう地の文です。