1000/1080
馨、逆恨みする
祝・千話です。
御徒町一族は美人揃いで、光源氏の血を引く由緒正しき家柄です。
柏木は太政大臣に帝からのお言葉を賜りました。
「柏木を従五位下、少納言に任ず。心して受けよ」
「はは!」
柏木は床に額を擦り付けて応じました。
「其方は十分、瑠里殿と添う資格があるぞ、柏木。匂の宮に遠慮する事はない」
太政大臣は微笑んで告げました。
「忝う存じます」
上げた顔をもう一度床に下ろす柏木です。
「愚息の仕出かした事をこれで帳消しにするつもりはない。だが、もう忘れよ。其方はこれから先を見つめるべきであるからな」
太政大臣は柏木の左肩に右手を置いて言いました。
邸で謹慎している馨に太政大臣の文が届きました。
「何だと!?」
馨は驚愕しました。彼は謹慎ですむと思っていたのです。
(職を解き、官位を召し上げる、だと!?)
想像以上の厳罰に怒りを覚える馨です。
(おのれ! それもこれも彼奴のせいだ!)
馨の矛先は護に向きました。