9月3日/侑eyes 粢名言
ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)
この作品はフィクションです。
登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、
実際の物とは一切関係ありません。
初めて読む方は、本編からご覧ください。
ーboy and girls' aspectsとは?ー
このモードは主人公の視点ではなく、
君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。
これにより、より世界観がわかりやすくなります。
※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。
朝倉の正体を知った。
いや、知ったのはほんの一部。
今乗っている自転車は、
"桜凛高校全生徒の殺害"を命令した人物、朝倉が用意した。
こんな自転車に乗ってもいいのだろうか?
「朝倉が用意した自転車に乗ってもいいんですか?」
朝倉は何を考えているか分からない。
この自転車のことも、桜凛高校全生徒の殺害も。
「だから俺は止めろって……」
確かに蒼生先輩だけ乗るのを拒んでいた。
そういうことだったのか……。
「まぁ、いいじゃないか。渡りに船だ」
だが粢先輩はこの自転車を拒まなかった。
……。……。……。
確かに『渡りに船』だ。
俺達は桜凛市から出なければいけない。
そのために、自転車を狩りに行った。
その自転車がどんな形であろうと、手に入った。
まさに、『渡りに船』だ。
「出ました!粢名言!」
~まぁ、いいじゃないか。渡りに船だ~
「奥深い名言だな」
粢先輩の名言は聖夜を始め、次々と反響を呼んだ。
「か、勝手に粢名言なんて作るな―――――ッ!!!!!」
粢先輩は声を高らかにして叫ぶ。
「おお!それも頂きだな!」
聖夜は高らかにそういった。
~か、勝手に粢名言なんて作るな―――――ッ~
次々と粢名言が生まれていく。
だがその後、粢先輩は一言も喋らなくなった。
◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇
「結構走ったな……」
やっぱり自転車は速い。
此処は相当な郊外だ。
此処までは桜凛武装高校の生徒の手は廻っていない。
桜凛市の外なら、もう99%安全って言っていいかもしれない。
「そうだな。結構走ったな……」
蒼生先輩の表情だけで疲れていることが伺える。
今の所は自転車に異変はない。
本当に朝倉のすることは、意味不明なんだな……。
「このまま一気に駆け抜けるぜ!」
聖夜が高く拳を揚げ、音頭をとる。
『おお―――――――――ッ!!!!!』
ファーゼストクンパニアンはそのまま、桜凛市の脱出を目指した。