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君の魂に抱かれて  作者: 皐月-Satsuki-
boy and girls' aspects
95/136

9月3日/侑eyes    自転車狩り実行

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



ーboy and girls' aspectsとは?ー


このモードは主人公の視点ではなく、

君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。


これにより、より世界観がわかりやすくなります。


※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。

 


遂に、自転車狩りが実行へと移された。


自転車狩りのリミットは、早く桜凛市から出れること。


デメリットは目立って攻撃の的になること。


だが、どんな状況だって良い点と悪い点は付き物だ。

どんなことだってメリットもあれば、デメリットもある。

メリットだけってのはありえない。



◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇



てな訳で、ようやく忌々しい森から脱出できた。

蒼生先輩のお陰で。


「太陽が眩しいぜ!」


聖夜は右手をおでこに当て、

光を遮る。


「うわぁ~と、溶けるぅ~」


いくらなんでも、溶けはしない。

奏笑は両手で太陽の光を遮断している。


「さぁ!光合成でも始めるか!」


聖夜が人外なことを言い始める。


「こ、光合成!?」


あまりのバカっぷりに菜月は驚愕する。


「おおよ!」


聖夜は逞しく意思を表し、深呼吸を始める。

見た目はただの呼吸だ。

いや、実は二酸化炭素を吸って酸素を出しているのか?


「まぁ、光合成に必要な条件は揃っている。あとは聖夜に葉緑体があればな……」


蒼生先輩は恐ろしいことをいう。

まぁ、確かに葉緑体があれば聖夜の身体は緑色のはず。


……。……。……。


想像するだけで気持ち悪い。

緑色だったら、全身の血が抜かれたみたいじゃん……。


「遊んでないで行くぞ!」


粢先輩を先頭に歩き始める。

これが、一番の不安材料だ。

蒼生先輩の方がいいんじゃないか……?


……。……。……。


此処は郊外のようだ。

あまり家がない。

いってみれば、田舎のような感じだ。


俺達はいつのまにかこんなに歩いたのだろうか……。


「随分田舎じゃない?」


緋咲と同感だ……。俺も思った……。

こんな所に自転車があったら逆に不自然だ。


「いいじゃないか、趣があって」


粢先輩は完璧に風景を楽しんでいる。

俺達が来たのは風景を楽しむ為じゃない。


「粢先輩、俺達は自転車を狩りに来たんですよ」


目的はあくまで自転車。

だが、たしかにここは趣がある。


戦闘なんて起こらなそうな所だ。


唐突に、先輩は歩みを止めた。

それに伴い、俺達も歩みを止める


「…………」


そして、粢先輩は黙して一点を見つめている。

不安が脳内に過ぎった。


ま、まさか敵っ!?


「どうしたんですか?」


不思議に思った俺は粢先輩に問いかける。


「あれ、自転車じゃないか?」


『えっ!?』


全員驚愕の声を上げる。

俺達は粢先輩が見つめていた一点を見つめる。


100mぐらいあったが、確かに自転車ぽかった。


「おいおい……マジかよ……何なんだよこの世界は……。銃で撃たれるは、自転車は不自然に置いてあるは……」


聖夜は両腕を組みながら、文句を垂らす。

俺にも分からない……。

こんな田舎に自転車はミスマッチだ。


「善は急げ―――――!!!!」


粢先輩が誰よりも速く駆け出す!


これって善なのか……?


粢先輩は疾走し、自転車の方へ……。


「My going!!!!!Yeeeee―――――!!!!! 」


妙なことを言い残し、聖夜も走り出す。


「駆けっこなら負けないよ!」


何故か、闘心に火がついた菜月。

菜月も走り出す。


「菜月ちゃ~ん~!まって~~~~~!」


奏笑も菜月を追い、駆け出す


……。……。……。


「はぁ!ガキみたい……」


緋咲は嘲笑うように、腕を組み短く鼻で笑った。

結局ここに残っているのは、俺も入れて3人。


「自分が勝てないからって、自己満足な言い訳をするんじゃない」


蒼生先輩が緋咲を挑発する。


「な、なんだって……!!」


即座に緋咲も対抗する。


「ああ、いいんだぞ。無理に走らないで。どうせお前は、あいつらには勝てない」


『ブチッ!』


音は聞こえないが、完璧に緋咲の心に火がついた。


「……やってやろうじゃない……!!見てろよ―――――!!!!!」


緋咲も猛スピードで走り出す。

見事に緋咲を乗せた蒼生先輩。

お見事。


「俺達はゆっくりと大地を踏もう!」


「そうですね……」


俺と蒼生先輩はゆっくり歩きながら、

その場へ向かった。



◇◆◇◆◇◆◇◇◆◇◆◇◆◇



当然だが、俺達が最後に付いた。


俺は置いてある自転車を凝視する。


「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、ななつ……?」


自転車は綺麗に七台綺麗に並べてあった。

しかも、見る限り全て新品。


「あまりにも不気味すぎないか?」


蒼生先輩は警戒を始める。

此処までくると、なにか『仕掛け』があるとしか思えない。

しかも、自転車の近くに看板が立ってある。


「看板……?」


蒼生先輩は看板へと近づく。


この看板は決して、大きいものではなく、

地面に刺さっている看板だ。


「えっと……」


蒼生先輩は看板の文字を読み始める。


『諸君!今までご苦労だった!

 そんな君達にご褒美を送ろう。

 せいぜいこれで頑張るといい!

 さらばだ! by朝倉』


……。……。……。


はぁ?


「おのれ!朝倉の差し金か!?」


蒼生先輩は声を張り上げる。

朝倉?

朝倉という人物がこれを……?


「朝倉ってあの戦術科のか?」


朝倉という言葉に、粢先輩も反応する。

戦術科!?

ってことは、桜凛武装高校の生徒なのか?


「ああ、あの朝倉だ……」


何故か蒼生先輩の拳はブルブルと震えていた。

あの朝倉っていってわれても、どの朝倉か分からない。


「アイツのことだ!またろくでもない事でも考えているんだろう!」


『チャリンチャリン』


蒼生先輩の言葉を横目に、独特なあの自転車の音が響き渡った。


「よし!行くぞ!」


既に粢先輩は自転車にまたがっていた。


「おい!これは罠かもしれないんだぞ!」


そんな蒼生先輩の言葉も聞かず、先輩は走り始める。


「Good bye!!」


妙な事を言い残し、聖夜も自転車で去っていく。


よっし、俺も行くか。


俺は自転車の方へ行く。


「残念だな……君だけはまともな人間かと信じていたのに……」


「俺って結構まともじゃないですよ」


見事に自転車狩りは成功した……?

後は、桜凛市から出るだけだ。


俺達『ファーセストクンパニアン』は自転車を手に入れ、桜凛市からの脱出を目指した。



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