9月3日/侑eyes 交差する真実
ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)
この作品はフィクションです。
登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、
実際の物とは一切関係ありません。
初めて読む方は、本編からご覧ください。
ーboy and girls' aspectsとは?ー
このモードは主人公の視点ではなく、
君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。
これにより、より世界観がわかりやすくなります。
※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。
俺達『ファーゼストクンパニアン』は、更に話を進める。
「ゴホン!」
粢先輩は咳払いをする。
この話合いの司会者は粢先輩だ。
俺達は円を描くように座っている。
「さぁ、そろそろ本題に入ろう」
『本題』
それは、これからの行動について。
俺達『自転車狩り』を実行していた。
その途中で、蒼生先輩と緋咲にあった。
その二人は今は仲間だ。
だから、皆で話合う必要がある。
「これからどうするかだ」
ファーゼストクンパニアンの
これからの行動について。
その話合いが始まった。
「まず、蒼生はどこまで知っている?」
それはここ、異世界のこと。
蒼生先輩なら俺達より知っているんじゃないか?
期待も膨らむ。
「ああ、そうだな……」
蒼生先輩は頭の中で整理しているようだ。
俺達は黙って見守る。
「何も知らない」
――ッ!?
何も知らない!?
俺が思っていた回答とは正反対だった。
「そうか……」
粢先輩は残念そうに肩を落とす。
先輩も期待していたようだ。
「なんであたしには聞かない?」
意味ありげに緋咲が発言をする。
緋咲は何か知っているのか!?
「何か知ってるのか?」
粢先輩は落としていた視線を上げる。
「何も知らない」
……。……。……。
しばらく、静寂に包まれる。
違う意味で、期待を裏切らなかったな……。
「お前、そろそろ死んだ方がいいぞ」
この静寂の中、蒼生先輩の言葉が鋭く響く。
「なんでよ!アンタと同じことをいったのよ!」
確かに同じことだけどさ……。
明らかに緋咲は悪意を持ってるていうかさ……。
「ゴホン!」
粢先輩が一つ咳払いをする。
「私達が行っていた行動はこの桜凛市から出ることだ」
その為の『自転車狩り』だった。
歩きだけでは、流石に無理がある。
どっちにしろ、俺達の目的はこの桜凛市から出ることだった。
「桜凛市から出る?」
初耳の蒼生先輩は少し驚いていた。
「ああ、この異世界は戦闘が勃発している。だから安全な桜凛市の外に行く」
「な!異世界だと!?」
蒼生先輩は驚愕する。
そうか……。
蒼生先輩は何も知らないんだっけ……。
「ああ、そうだ。此処は異世界だ。電気も使えない。桜凛高校、武装高校以外の人間はいない。簡単に言えばこんな世界だ」
俺も此処が異世界と知ったとき、
訳が分からなかった。
だが、普通の世界ではないっていうのは理解していた。
蒼生先輩もそうだろう。
「確証はあるのか?」
確証――!?
確証とは『確かな証拠』という意味。
俺は『此処が異世界』であるという証拠を探す。
だが……。――見つからない。
「――ッ!?」
粢先輩は目を大きくする。
先輩もそれに気付いたようだ。
そうだ……。
『此処が異世界であるって証拠はない』
「えぇ~?それってどういう意味~?」
状況が理解出来ない奏笑は困惑している。
「つまり、此処が異世界であるって証拠はどこにあるって意味だ」
聖夜のいう通りだ。
俺達は、粢先輩が言っていた『異世界』という言葉に縛られていたんだ。
『異世界である』と聞いて俺はすぐ納得した。
普通の世界ではないって気付いてたからだ。
だが、『普通の世界ではない』と『異世界』は『=(イコール)』じゃない。
「粢先輩はどうして此処が異世界だって知ったんですか?」
菜月は疑問を粢先輩へ投げ込む。
問題はそこだ。
そこが分かれば、大きな核心へと進むことが出来る。
「此処が異世界だって知ったのは、全校集会のときだ」
全校集会?
先輩は桜凛武装高校。
ということは、桜凛武装高校の全校集会。
「全校集会!?」
蒼生先輩は桜凛武装高校の一人だよな……。
いかにも、初耳のリアクションだ。
「全校集会で話をしていた戦術科の言っていた言葉。それが、『此処は異世界』だった」
なるほどな……。
つまり、全校集会で話をしていた戦術科の人が、
『此処が異世界』て明言したんだな……。
「全校集会なんてあった?」
緋咲も初耳のリアクションだった。
……。……。……。
話が組み合わない……。
余計、話が混雑してきた……。
どっちが正しいんだ?
それとも、どっちも正しいのか?
それとも、どっちとも間違いなのか?
「全校集会なんてあったの~?」
奏笑まで!?
一体、どれが真実なんだ!?
「ああ、間違いなくあった」
だが、粢先輩ははっきりと言い切った。
俺も頭をフル回転して考えてみる。
全校集会だぞ!?
全校参加の集会だぞ!?
どうして、こんなに意見が食い違うんだ!?
「全校集会に参加してなかったのか!?」
全校集会が本当にあったなら、
知らない、奏笑、蒼生先輩、緋咲、は、
参加していないことになる。
「全校集会の時間帯と場所は?」
蒼生先輩は更に追及する。
より正確に真実を知るためだろう。
流石は戦術科のAランクだ。
「学校が終わったすぐに体育館でだ。時間は……5時半過ぎ辺りだった気がする」
学校が終わったすぐの体育館でか……。
その頃俺達はなにをしていたんだろう?
放課後だから、俺達は帰宅中か……。
「それは、9月1日か?」
9月1日。
その日はここに来た日。
一生忘れない日だろう。
そして、運命の日。
「そうだ。9月1日だ」
やはりそのようだ。
だが、その集会を知っているのは粢先輩だけ。
「9月1日の放課後か……」
蒼生先輩は記憶を手繰り寄せている。
「その時は緋咲に絡まれていたな……」
絡まれる……。
緋咲に絡まれてたってことは、
緋咲のこの頃の行動がわかる。
「ハァ!?それはアンタのせいでしょ!?」
緋咲が猛烈に反発する。
なにかあったのだろうか?
「なにいってんだ!お前のせいだろう!」
二人は言い争いを始める。
緋咲は蒼生先輩を睨み付けている。
「こら―――――っ!!!喧嘩するな―――――っ!!!」
粢先輩の一言で、周りは静かになる。
木々が揺れる音だけが耳に届く。
「まず、話をまとめよう」
あまりにも、意見が食い違っている。
このままでは話は進まない。
「9月1日の放課後に桜凛武装高校で全校集会があった」
粢先輩は、話を確かめるように進める。
「その集会の事は、奏笑、蒼生、緋咲、は知らない」
先輩は目で3人に問いかける。
「ああ、そんなの一切知らなかった」
「あたしも」
その集会が行われていたとき、
この二人は共にいた。
「でもひどいよねぇ~」
奏笑が文句をいう子供のように言い始める。
「放送ぐらいかければいいのにねぇ~そうしたらみんなわかるのに~」
放送もされていないのか……?
なら、全員が揃う筈がない。
ああっ!
「そうか!電気が使えないからだ!」
粢先輩の言うと通りだ。
電気が使えなければ、人になにかを伝える手段は"人から人"しかない。
しかも、それには時間が必要だ。
放課後のすぐなら、時間は足りない。
だから、全員が揃わない。
「そういうことか……」
蒼生先輩は納得している様子。
「ところで、その集会の内容はなんだったんだ?」
そこが一番気になる点。
全ての始まりはこの集会かもしれない。
「私が参加したのは、途中から」
え……?
途中参加!?
「途中参加だとっ!?」
蒼生先輩もその言葉に反応する。
「途中参加の私が知っている内容は、『此処が異世界』であること、『桜凛高校、全生徒の殺害命令』だけ。私が体育館に入ってら、それだけ言ってすぐ集会は終わった」
……。……。……。
俺も初耳だった。
粢先輩が遅刻してきたのも。
奏笑、蒼生、緋咲 「桜凛高校、全生徒の殺害命令!?」
3人、奏笑、蒼生、緋咲、は同時に声をだす。
そうか……。
奏笑にはまだ、このことは話していないんだった。
「それは、戦術科の命令か!?」
「そうだ」
戦術科の命令……。
どうしてこんな命令をするのか、
俺には分からない。
「朝倉か……」
蒼生先輩は小さくなにかを呟いた。
「つまり、粢は遅刻して集会に参加した。しかも集会の終わり直前に」
確かめるように話をまとめる。
「その時話していた言葉、それが、『此処は異世界』『桜凛高校、全生徒の殺害命令』だな?」
「そういうことだ」
粢先輩は話合いの最後しか知らない。
つまり、『過程は知らない』
「な、なんでそんなひどい命令だすの~」
奏笑は悲しい顔をしていた。
「所詮アイツの命令だ!またいつもの悪ふざけだ!」
蒼生先輩の口調には怒りも含まれていた。
悪ふざけ……?
その命令をだした人間の『ゲーム』なのか……これは……?
いや、ゲームなんかで済ませられない。
人が死んでるんだぞ……。
一人や二人じゃなくて、沢山……。
っと、そこで粢先輩が口を開いた。
「だが、戦術科のだした命令は至上命令だから、絶対に従わないといけない」
絶対に従う……。
『桜凛高校、全生徒の殺害』も戦術科の出した命令。
つまり、絶対に従わないといけない。
だが、なぜそんな命令に従うんだ……。
俺には"それ"が分からなかった。
参照:『9月1日/璃桜eyes Instruction』




