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君の魂に抱かれて  作者: 皐月-Satsuki-
boy and girls' aspects
89/136

9月2日/沙耶eyes  志

ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)


この作品はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、

実際の物とは一切関係ありません。

初めて読む方は、本編からご覧ください。



ーboy and girls' aspectsとは?ー


このモードは主人公の視点ではなく、

君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。


これにより、より世界観がわかりやすくなります。


※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。



5話(2) 目覚め~



「そうか……安心したまえ。君達は私が守る」


真っ直ぐな中沢くんの眼に賭けた。

前だけを見つめる瞳。

その眼には一つも陰りなんてなかった。


私は鞘から刀を抜く。

この刀は天下五剣の一つ、三日月宗近。

三日月宗近には神秘的な力が宿されている。

だからこそ、この刀にした。

この刀なら守ってくれる。


「使いたまえ」


三日月宗近を中沢くんに渡した。

真剣を一般人に渡すには抵抗がある。

しかも、今日だけで2回目

中沢くんは鍛錬や訓練、

基本すらろくに出来ていないだろう。

それが、私とは違う一般人。

それが普通なのだろうか?


私は自分の手の中に納まっている三日月宗近を見つめる。

人を殺すための道具。

そのために作られた刀。

それが一般の考えなのだろうか?


だが、私はそうは思わない。

これは何故だろう?

桜夜家に生まれたから?

小さい頃からずっと修行をしていたから?

慣れたから?

いや、違う。


刀を使う本人が違ければ、刀の全てが変わってくる。

人を殺すための剣になるのか、

大切な何かを守るための剣になるのか。


刀には心がない。意思がない。

故に刀を使っている者の通りにしか動かない。


私はどちらなのだろう?

どっちで在りたいのだろう?


私は迷わず、守る剣を選ぶ。

弱き者、大切な何かをこの剣で守りたい。

これが私の想い。

一生貫き通すと決めたこころ


中沢くんが刀を受け取った。


重たいのが表情で見受けられる。

中沢くんの剣も守るための剣。

中沢くんの眼を見ればわかる。

決心に満ち溢れている眼。

その眼には陰りはない。


「よし!行くぞ!!」


私は銃声が聞こえた所へ走る。

無抵抗な者に被害を及ぼすとは……!

また、命が消えていくのか?

いや、私はその命を守らなくてはいけない!

何にでも縛られないで、自分の意思で!


「事態が悪い!私は先に行く!!」


今まで中沢くん達のスピードに合わせていたが、

全力疾走で現場へ向かう。

間に合ってくれ!


草を掻き分けながら進んでいく。


すると眼の前に広場が見えた。

そこで戦闘を行われているのだろう。


『ガサ!!』


私は広場へ着いた。

周りを見渡す。


「な……!」


火薬と血でむせ返るような臭い。


「間に合わなかったのか……」


そこには中沢くん達と同じ制服を身に着けた少年少女が血を流して倒れていた。


「貴様……!」


声が震える。桜凛武装高校の生徒を睨みつけた。


「おっと……貴方は桜夜沙耶」


そのチームのリーダーであろう少女が反応した。

このチームなのか……。桜凛高校の生徒を殺したのは……!


「貴方の殺害命令が戦術科から出されています」


殺害命令っ!?

私が命令に従わなかったからか……。

その程度の事で殺害命令を出すとは……。

相当戦術科の連中は相当狂っているとみえる。

いや、桜凛武装高校すら相当狂っている。


「ほぉ、何故かな?」


元々こんな狂気な命令に従うつもりはさらさら無い。

私は桜凛武装高校の生徒を敵に回すことになった。

それでも、信念を曲げたりはしない!


「何を馬鹿なことを……」


生徒はふふんと鼻で失笑をする。

この生徒は剣術科。制服を見れば分かる。


このチームは、見る限り、

様々な科により構成されているとみえる


チームと言うのは、

桜凛武装高校の生徒同士でグループを組み、共に行動する仲間の事。

誰とでも組める。

科を超えて幅広チームを作るのも可能。

人数の制限もない。


私は一人と組んでいた。

つまり、私のチームは私を入れて2人。


「そんな事を知って何になる?」


「そうだな」


次は私が失笑する。

もう私の居場所は桜凛武装高校ではない。


「では、桜夜沙耶。覚悟……」


生徒が手を腹部付近で交差させ、

左右に差してある刀を、

ゆっくりと上にあげながら抜いた。

彼女の武器は両手刀だ。


「言っておくが、私は剣を握って、戦いに敗れたことは一度もない」


我ながら良く言う。

だが、あえて自らを鼓舞するように、傲慢な物言いを選んだ。


その言葉を聞き、少女の顔が微笑む。


「面白いっ!」


刹那、滑るような動きで、少女が間合いを詰める。


「立花道雪っ!千鳥っ!」


私は腰に差してある千鳥を抜いた。


『カキーーーン!!!』


刀同士がぶつかり合う音。


生徒は右の刀で千鳥を押さえる。


「はぁっ!!」


だが、予め予測をしていたように少女は空いている左手で、

私の横腹に切りつける――!


「遅いっ!!」


私は低い体勢からバネのように大きく飛翔した。


「流石はSランク……」


重力に従い私の身体は地面に向かって落下する。


それを利用して、千鳥の刃先を地面の方に向けながら頭から落下する――!


「はぁ――――っ!!!」


千鳥は風を切り、一直線上に生徒の方へ。

だが、少女は薄笑いを浮かべていた。


「ふ……甘い……撃てっ!!!」


「な……!」


『ズド―――ンッ!!!』


林の方から銃声がした。

狙われていたのか!?

此処は空中。避けるのは困難。


私は千鳥を右手だけで持ち、神切を鞘から抜く。


『カキ―――ンッ!!!』


銃弾を神切の刃に当てた。

だが、こうしている間に次の一発もくるだろう。

なら――


「はぁっ!!!」


銃声のした場所目掛けて神切を矢のように投げつけるっ!


『ビシュ―――――っ!!!』


あっと言う間に神切は目標へ到達。


「ぐはぁ!?」


狙撃をしていた生徒に神切の刃先が抉り込む。

そこから赤い血が吹きだしているのが分かる。だが、急所は狙ってない。


「はぁ―――!!!」


そして、最速の速度で地面に落下。

千鳥の刃先はリーダーである生徒。

今度の少女の表情には、薄笑いは消え、焦りが見え始める。


「くぅ……」


生徒は後方へ半回転し華麗に避ける。

なかなか強い……。


この攻撃を避けるとは……。


私は地面に到達する。


その落下の勢いで千鳥を地面に突き刺し、両手で千鳥を握りながら、

倒立をするような態勢になった。


そして千鳥を放し、地面に着地。

地面に刺さった千鳥を抜き、千鳥を再び構え直した。


「還り来たれ!神切!」


呪を唱えた刹那、神切が鞘に戻ってくる。


「よくも仲間を……」


仲間。

それはさきほど神切を投げ、直撃した狙撃手のことだろう。


「貴様、何ランクだ」


此処まで張り合う、相当の実力者。

それだけは分かる。


「私は桜凛武装高校剣術科Aランクの赤瀬川 麗那だ!!」


そう言いながら、接近し乱舞攻撃。

両手刀だからあらゆる所から斬撃がとんでくる。


「覚えておこう!赤瀬川 麗那!」


こちらも攻める。

防御ばかりでは勝てない。


麗那くんは乱舞攻撃なのだが、隙が見当たらない。

強い剣士だ。


「麗那っ!!」


林の中から一人の女子生徒が私の方へ接近して来る

刀は抜刀状態。


「止めろ!お前がかなう相手じゃない!!」


乱舞を繰り広げながらも、周りを把握している。

お見事。私は防御しか出来ない。


「でも!!」


「言うことを聞いてくれ!絶対に倒す!」


「麗那……」


何だが私が悪役のような感じだ。

麗那くんは仲間想いの良い人間だ。

そんな人間を敵に回すとは惜しい。


「頼む!退いてくれ!!」


麗那くんが悲願するようにそうに言う。


「……わかった……どうか無事で……麗那……」


生徒が走って後退して行く。

仲間同士も信頼し合っている良いチームだ。


「なによそ見している!!」


乱舞攻撃が強さを増す。

右、左、交互に連続攻撃を繰り広げて来る。

息もつかずに、攻めて攻めて攻めてくる麗那くん。


『カキーーーン!カキンーーー!カキーーーン!』


刀同士が交差する音が永遠に繰り返される。


「くぅ……このままでは……」


麗那くんの攻撃は正確で精密。

千鳥の同じ刃身しか攻撃してこない。


千鳥の刃がダメージを蓄積している。

このままでは折れてしまう。


「刀ごと負ってあげるっ!!」


この状況を脱出したいが、反撃、間合いを取る隙が何処にも無い。

だが……!


「千鳥に宿われし雷魂よ!再び生ずことを請う!」


私は呪を唱える。

呪を唱え終わると、千鳥の刃に電気が流れ始める。


「な……!自然魂!?」


自然魂。

それは、自然をつかさどる魂。

雷魂も自然魂の一つ。


「今、此処に雷魂を開放する!!」


音を立てて、大きく千鳥が帯電し始めた。


「立花道雪!雷切!!」


再び音を立てて、大きく帯電する。

千鳥から雷切へ変化した。


「くぅ……」


苦声を漏らしながら、

麗那くんは後転しながら地面を大きく蹴り、距離を稼ぐ。


私は雷切を片手で持ちながら、後退して行った麗那くんにゆっくり接近する。


「た、たかが自然魂で調子に乗って!!」


麗那くんは後転の回転の勢いを利用して、すぐさま体制を整えた。


これで、決めなくてならない。


私は体制を低くして雷切を両手で構えた。


幻剣げんけん……」


少女は両手の刀を右側に出し、眼にも止まらぬ速さで地面を滑るように接近してくる。



「我が剣よ請え!全ての雷魂を飲み込み、正法を生じよ!」


先ほどと比べ物にならないぐらい帯電する。

これが雷切の力。


雷神正法らいじんせいほう!!龍来りゅうらい!!」


雷切の刃が雷で倍増する。

雷が刃と化している。


斬体剣ざんたいけん……」


眼には見えない程の速さで、抜突。

狙いは胴体。当たれば切断されるだろう。


だが……!


『ガキ―――――ン!!!!!』


雷と化した刃と麗那くんの刀が激しく交差する!


『バキンッ!!!』


「そんな……!?馬鹿な……!!」


麗那くんのその両刃とも折れて刃が宙に舞う。

そして、宙に舞った刃が地面を突き刺す。


私は武器を失った麗名くんの顔の前に刃先を向けた。


「もはやこれまでか……皆逃げろ!!」


麗那くんは自分のチームの仲間に告げた。


「君も逃げたらどうなんだ?」


私は覚悟を決めた麗那くんにそう告げた。

麗那くんは逃げる気はないようだ。

このまま、私に殺されるつもりか……。


「な!哀れむつもりですか!?」


「此処で死にたいのか?」


麗那くんは此処で命を落とす器ではない。

これは甘さと言うのだろうか?

いや、人を殺さないのがどうして甘さや情けになるのだろう?

自分が危険になるから?不利になるから?


どんな理由があっても、

人を殺すこと何てあってはいけない。


「死などすでに覚悟をしている!!」


私は雷切を前にだした。


「雷魂よ、再び眠れ」


呪を唱え終わると、

雷切の刃から、電気が消える。


そして、千鳥を鞘に戻した。


「桜夜沙耶!?何を……」


私はその場を離れ、潤くん達の場所へ走っていった。



ー登場人物ー



赤瀬川 麗那(あかせがわ れいな):(女)


桜凛武装高校剣術科Aランクの3年。

彼女が率いるチームのリーダ。

彼女はチームと共に異世界からでることを誓い、

『目的』を達するため戦術科の命令に従う。

彼女の武器は両手刀。


身長:166cm

体重:48㎏

B.W.H:85.53.88

血液型:B

髪色:猩々緋色(赤系)、ロング

誕生日:11月26日

年齢:17




ー用語集ー



雷神正法(らいじんせいほう)


桜夜家に伝わる雷魂を使う桜夜流の剣技。

雷切のみ使用可能。

全て習得するには困難な技で、技数も豊富。

雷神正法の一つ一つの剣技が、かなりの難易度。




幻剣 (げんけん)


桜凛武装高校で教えられる剣技。

威力や難易度も様々で、技数は無数にある。



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