9月2日/侑eyes 防弾制服
ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)
この作品はフィクションです。
登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、
実際の物とは一切関係ありません。
初めて読む方は、本編からご覧ください。
ーboy and girls' aspectsとは?ー
このモードは主人公の視点ではなく、
君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。
これにより、より世界観がわかりやすくなります。
※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。
いつの間にか、再び林に入っていた。
「よし!もう大丈夫だろ!」
先輩の足が止まる。
それに続けて俺達も足を止める。
「はぁはぁはぁ……」
一方俺は呼吸が乱れている。
最近の運動量は本当に凄いと思う。
「……なんだよ……もう疲れたのかよ……」
「……聖夜だって息切らしてるだろう……?」
また林の中へと逆戻り……。
でも、林の中と町の中、どっちが安全なのだろう?
「みんな疲れているようだから少し休もう」
「助かります……」
俺は菜月の方を見る。
もう回復済みっていう感じだ。
「菜月……回復早いな……」
「え?そう?」
菜月は俺の方へ振り返った。
「お前はダチョウかよ……」
聖夜も話に加わる。
ダチョウ?なんでだ?
ダチョウっていったら、足が長くて、首が長くて……。
「な!なんでダチョウなのよ!?」
「だって、ダチョウは走りながらも体力を回復できるんだぜ?」
へぇ~~~。
そうなんだ……。
知らなかった……。
「だからって、私はダチョウじゃない!」
「そんなこと知ってるて……」
『ガサッ!!!』
この俺達の領域に侵入したであろう足音がする。
すると、人であろうものが視野に入った。
「ひぃ~~~なんで狙ってくるの~~~!?」
俺達の領域内に少女が侵入。
あの制服は……。桜凛高校じゃないな……。
ってことは桜凛武装高校の生徒!?
なんだか、焦っている感じがする。
ん?狙ってくる……?
ってことはまさか!?
『ズド―――――ンッ!!!!!』
「やっぱりかっ!!」
俺は反射的にハンドガンを取り出す。
これは本物の銃。
この銃声の狙いは少女のようだ。
「うぎゃぁぁあああ~~~!」
少女は右側に滑り込むように高速移動し、銃弾を避ける。
しかもその動きはかなり速い。
まさに高速移動という言葉が相応しい。
「あわわわぁぁぁ~~~!た、助けてください~~~!!」
少女が俺達の所まで駆け寄り、助けを求めてくる。
まさか……俺達も戦闘に巻き込まれる!?
「了解!援護する!」
「あ、ありがとうございます~~~!」
粢先輩はサブマシンガンを左手で持ち、
右手で鞘に納まっていた刀を抜き、右手で構えた。
そして先輩は少女の近くまで行く。
「先輩!助太刀します!」
聖夜はハンドガンを手に握り、
先輩の近くに行く。
「ば、バカ!お前が来るところじゃない!!」
「そんな事を言っている場合ですか?璃桜先輩?」
聖夜は冷静にそう言ってみせた。
『ズド―――――ンッ!!!!!』
確かに言い合っている場合じゃない。
少女を追っていた人物までも俺達の領域に入ってきた。
もう、やるしかないのか……。
「いた!撃て!!」
『ズド―――ンッ!ズド―――ンッ!ズド―――ンッ!』
少女を追ってきた生徒が此処まで来た。
この生徒も桜凛高校の生徒ではない。
「菜月!俺の後ろに隠れろ!!」
もう此処は戦場。
なら、俺も覚悟を決めて戦わなければいけない。
俺達の日常を守るために……。
「うん……」
菜月が俺の背中に隠れる。
「どうやらサバゲーで鍛え上げこの実力。見せる時が来たようだな!!」
聖夜は銃を構える。
確かに聖夜はサバゲーが上手い。
だが、相手は訓練をしている生徒だ。
「敵が増えたか……。なら、皆殺しにしろ!!」
男子生徒が自分のメンバーに命令をする。
ということは、このチームのリーダーはこの男。
チームの数はざっと数えて5人。
「どどうして私を狙うんですかぁ~~~!」
少女が声を上げ、リーダーであろう男子生徒に話しかける。
「貴様は校則に反した!死罰されるのが当然だ!」
「えぇ~~~!そんなことしてないよぉ~~~!」
少女の方を見てみる。
背中には、クロスするように刀がしまわれている。
刀2本あるが、どちらも小さい。小刀ってやつだ。
やはり、この少女も桜凛武装高校の生徒。
「無罪な女子を攻撃するなんて、人間としては最低だ!!」
聖夜が敵生徒に銃を構える。
『ズド―――――ンッ!!!!!』
聖夜が敵生徒目掛けて発砲する。
迷いなく、ためらうことなく発砲した。
「ぐわぁあっ!?」
聖夜が撃った弾は生徒一人の胸に直撃。
そして、その生徒は背中から倒れた。
俺はその光景を信じたくはなかった。
……聖夜ガ人ヲ殺シタ……?
「大丈夫だ侑! 粢先輩から教えて貰った。奴らは防弾制服を着ていてこの程度では死なないんだ!死ぬほど痛いらしいが」
「なッ!防弾制服ってそんなにすごいのか!?」
敵は背中から倒れたが、被弾して倒れたのではなく、被弾の衝撃で倒れたんだ!
つまり聖夜は人を殺していない!
「覚悟っ!!」
『ズドドドドドドドッ!!!』
粢先輩は流れるようにサブマシンガンを構え、近くにいた生徒目掛けて発砲――!
先輩は躊躇わずに発砲する。
「ぐはっ!!」
パキューン!っと銃弾を弾く音が聞こえる。
これは防弾制服が銃弾を弾いてる音だ。
「なにそこで隠れてるんだ!!丸見えだぜっ!!」
『ズド―――――ンッ!!!!!』
今度は聖夜が林に向かって撃つ。
再びパキューン!という高音が響く。
聖夜は相手が防弾制服と解っているから、殺さないで済むから戦っているんだ。
「皆、戦ってくれてるんだぁ~!苦手だけど私も戦わないとぉ~~~!!」
少女は両手を背中に回し、小刀を鞘から抜く。
その小刀を両手で持ち構える。
通常刃先は上を向くが、忍者刀は刃先を下にして構える。
その姿は、忍者もしくはくのいちのような感じだった。
「ごめんなさい……こんなことに巻き込んで……」
少女は俺の方へ近寄り、深く頭を下げた。
「俺は何もやってない。礼ならあの二人に言ってくれ」
「でも……本当にごめんなさい……」
――!?
少女の後ろに人影が見える。
マズイっ!撃たれるっ!?
「後ろっ!!」
俺は叫んだ。このままだと少女は撃たれる。
狙いは防弾制服だけとは限らない。
頭は丸腰なんだ!
「ほえっ!?」
少女が後ろを振り向く。
一人の生徒が、銃を構えている。
既に発砲準備は整っている。
俺は少女目掛けてハンドガンを構えた。
「伏せろ―――――っ!!!!!」
その叫んだ瞬間、俺はトリガーを引いた。
相手が防弾制服なら……!殺さないで済むなら……!
俺だって撃てる!
『ズド―――――ンッ!!!!!』
俺は銃弾を少女に向けて発砲した――!
「うわぁ~~~!」
少女が素早く伏せる。
そして……銃弾は少女の頭上を越し……。
「ぐわぁっ!?」
俺が撃った銃弾は生徒の腹部、防弾制服に命中した。
当たると死ぬほど痛いらしく、生徒は膝を屈する。
「あ、ありあとう~~~!!」
少女が俺に駆け寄る。
「な、銃弾が効かない!?」
後ろに隠れていた菜月が驚愕の声を上げる。
「そうだ。だから血も出ないし死なない。だから俺も撃てたんだよ」
これなら俺も戦える。
だけど、俺には防弾制服はない。
一回被弾すれば終わりだ。
もう相手の生徒は、リーダーの一人。
そのリーダーは粢先輩と戦闘を繰り広げている。
そこが戦闘の最前線だ。
「ちょっと痛いかもよ!」
『ズドドドドドドドッ!』
粢先輩が男子生徒を蜂の巣状態のように発砲する。
もちろん防弾制服で守られているところだけだ。
「ぐがぁあっ!?」
そして、粢先輩は男子生徒の背中を後ろから蹴り飛ばした。
「ぐはっ……!!」
リーダは激痛に耐えるように倒れて悶絶する。
こうして、全員を無力化とはいかないが、戦闘不可能まで追い込んだ。
「みんな!ここは退くぞ!」
粢先輩が俺たちに命令を下す。
敵全員生きている。
だからこそこの判断なんだろ。
「解りました!」
俺たちは全力で粢先輩についていく。
「わたしも着いて行っていいですかぁ~?」
「まずは安全の確保だ!」
粢先輩は走りながらも少女と会話をする。
「ありがとうございま~す!」
少女も忍者走りで素早く走る。
あっという間に俺を追い越した。
「は、はやっ!?」
あの暢気な口調から想像もつかない程動きが速い。
「一気に走り抜けるぞ!」
粢先輩の声が俺たちに響く。
でも、本当に良かった。
仲間は被害もなく、人を殺してもない。
最高な結果でこの戦いを終えた。
ー能力、武器等の詳細ー
粢 璃桜(しとぎ りお):(女)
彼女が使用している銃はMP7・OBK/SR。
MP7・OBK/SRは彼女のスタイルを最大限に生かすため、
既存のMP7をベースに特別に製作されたもの。
彼女独自のスタイルを生かす上で不必要とされたストックを取り払い、
マニュアルセイフティを省略し、トリガーセイフティとグリップセイフティ
を代わりに採用している。
フルオートマチック射撃は制限され、3点バースト射撃が搭載された。
射撃速度は 1000発/分 に上昇。
この銃は200m以内ならケプラー繊維のクラス3Aの防弾チョッキを貫通が可能。
反動も9㎜ルガー弾(9㎜×19、9㎜パラベラム弾)のおよそ半分。
MP7・OBK/SRのOBKは桜凛武装高校
(Ourin Busou Koukou)の頭文字を取ったもの。
SRは、粢 璃桜(Shitogi Rio)の頭文字を取ったもの。
マガジンは20発を4個所持している。
彼女が使用している刀の長さは65cm前後。
彼女の戦闘スタイル上、片手になってしまうので、
取り回しが良いこのサイズにした。
攻撃力に特化している。
日本刀のため、普段は鞘に入れ腰に刺している。
この鞘は非常に防御力が高い。
そのため、戦闘時には鞘が身体の防御を担っている。
彼女は右利きのため、右に刀、左に銃という戦闘スタイル。