9月2日/侑eyes 秘められた想い
ー君の魂に抱かれてー(きみのこころにだかれて)
この作品はフィクションです。
登場する人物・団体・地名・事件・世界設定などは全て架空の物であり、
実際の物とは一切関係ありません。
初めて読む方は、本編からご覧ください。
ーboy and girls' aspectsとは?ー
このモードは主人公の視点ではなく、
君の魂に抱かれての主人公以外の登場人物の視点です。
これにより、より世界観がわかりやすくなります。
※目次の場合、下に行くほど時間が最新です。
あの光景が頭から離れない。
鮮明に思い出してしまう。
まさか…潤達も……"あんな風に"……。
だが、俺はその思考を掻き消した。
じゃないと、俺の心が持たない……。
俺も弱い人間だ……。
それは俺が一番理解している。
「侑?どうした?」
粢先輩が横目で俺に話しかける。
何処を歩いているかわからない。
周りは林。そして俺の手の中には、銃がある。
「いえ……なんでもありません……」
これは嘘。
心配されたくないから嘘をつく。
「いや、大丈夫じゃないだろう?顔色悪いぞ?」
やっぱり長く付き合っている聖夜は騙せないか……。
「いや!本当に大丈夫だって!」
俺は無理に明るく振舞う。
だが、本当の笑いが出来ない。
心から笑えない。
笑っているのは顔だけ。
いや、顔ですら笑っていないかもしれない。
俺は笑い方を忘れ始めた。
絶望的なことを知ってしまった後、
人間は何もかもくだらなく思えてしまう。
今までどういう風に菜月達と接していたかすらわからない。
全て剥がれ堕ちる。
「侑……」
菜月は俺と幼馴染だから、俺のことは一番知っているだろう。
このままだと、皆に心配をかけてしまう。
わかってる……。
こんなことで立ち止まっては駄目だ……。
わかっているんだけど、心がいうことをきかない。
「本当に大丈夫だから!気にするな!」
無理な作り笑顔をする。
「これだけは言うけど無理はするなよ?自分の気持ちに正直になれ」
自分の気持ちに正直……。
そう聖夜は言った。
俺は今、何を望んでいる?
絶望に沈むことか?
違う……。俺は……。
俺が望んでいるのは……。
「……わかった、ありがとう聖夜……」
聖夜のお陰で少し前向きになれた。
胸に秘めた想いを再び思い出した。
自分でいくら言い聞かせていたのに、
聖夜の一言だけで、前向きになれた。
何でだろう?大分気が楽になった。
「よっしーーー!!」
頬をポンポンと叩き、気合を入れる。
「侑に戻ったな」
聖夜は俺に向けて無邪気に笑う。
「ああ」
俺達は笑い合う。
ああ……。これだ……。
これが俺の"日常"だ……。
俺は少しでも取り戻せたんだ……。
壊れてしまった日常を……。失った日常を……。
「確かに笑ってた方が侑らしいよ」
菜月の表情も明るくなっていた。
「確かにそうだな。笑っていた方がいい」
先輩は笑みを漏らす
そうか……。
俺達の想いは同じなんだ。
『崩れ去った日常を取り戻す』
それが、俺達の想い――